2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

小説「汝、星のごとく」の感想

凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」は、2019年に講談社から出版された小説です。瀬戸内海の離島に住む高校生・暁海と、自由奔放な母親に振り回され、島に転校してきた櫂の、切なく美しい恋物語です。 暁海は、幼い頃に両親が離婚し、母親と二人暮らしをしてい…

小説「六人の嘘つきな大学生」の感想

浅倉秋成さんの小説「六人の嘘つきな大学生」は、就職活動中の6人の大学生が、ある企業の最終選考に残って、グループワークを行い、その中で起こる事件を描いたミステリー小説です。 物語は、6人の大学生が、ある企業の最終選考に残ったことから始まります。…

小説『可燃物』の感想

米澤穂信さんの小説『可燃物』は、群馬県警の刑事・葛城篤が、連続放火事件の捜査にあたっていく物語です。葛城は、言葉数は少ないながらも、鋭い観察眼と推理力で事件の真相に迫っていく主人公です。 連続放火事件は、いずれも夜中に住宅や車が燃え上がり、…

小説「正欲」の感想

小説「正欲」は、2023年に朝井リョウによって発表された長編小説です。この小説は、多様性を尊重する時代において、それでもなお「普通」と「異常」の分断が存在する社会を描いています。 小説は、検事の寺井啓喜、寝具店でアルバイトをする桐生夏月、大学生…

小説「逆ソクラテス」の感想

伊坂幸太郎の小説「逆ソクラテス」は、5編の短編小説からなる作品です。 各話とも、小学生が主人公で、彼らが学校や社会の中で直面する問題を、ユーモアと哲学的な視点から描いています。 1話目の「逆ソクラテス」では、学校の授業で、先生から「なぜ学校に…

小説「レモンと殺人鬼」の感想

小説「レモンと殺人鬼」は、くわがきあゆによる推理小説です。2023年に第21回「このミステリーがすごい!」大賞で文庫グランプリを受賞しました。 本作は、10年前に父親が殺害され、母親も失踪した小林美桜が、10年ぶりに実家に戻ってきたところから始まりま…

小説「君たちはどう生きるか」の感想

吉野源三郎の小説『君たちはどう生きるか』は、1937年に初刊された作品です。14歳の少年、野中耕作が、日々の生活の中で出会う様々な出来事を通して、生きることの意味を学んでいく物語です。 この小説は、戦時中の日本を舞台にしていますが、その内容は、時…

小説「52ヘルツのクジラたち」の感想

町田そのこさんの小説「52ヘルツのクジラたち」は、2020年に中央公論新社から刊行されました。この小説は、52ヘルツのクジラという、他のクジラとは異なる周波数で鳴くクジラに着想を得て書かれています。52ヘルツのクジラは、他のクジラとは交信することが…

小説「世界でいちばん透きとおった物語」の感想

小説「世界でいちばん透きとおった物語」は、杉井光によるミステリー小説です。2023年に新潮社から刊行されました。 本作は、大御所ミステリー作家の宮内彰吾が死去した後、彼の長男である宮内彰一郎が父親の遺稿を探すところから始まります。彰一郎は、父親…

小説「木挽町のあだ討ち」の感想

永井紗耶子の『木挽町のあだ討ち』は、2023年に刊行された小説である。物語は、江戸時代の木挽町を舞台に、刀鍛冶の娘・おつうが、父親の仇を討つために奮闘する姿を描く。 おつうは、幼い頃に父親が殺害され、その仇を討つことを決意する。彼女は、父親の師…

小説「極楽征夷大将軍」の感想

垣根涼介の『極楽征夷大将軍』は、2023年に刊行された小説である。物語は、13世紀末の鎌倉時代を舞台に、武士の平家と源氏の戦いを描く。 主人公は、平家一門の若武者・平清盛である。清盛は、武力と政治力で平家一門を台頭させ、ついには征夷大将軍に就任す…

小説「ハンチバック」の感想

市川沙央の『ハンチバック』は、2023年に第128回文學界新人賞を受賞した小説である。物語は、ハンチバックという車を乗り回す女性・沙織の視点で語られる。沙織は、幼い頃に母親を亡くし、父親から虐待を受けている。しかし、彼女はハンチバックにだけは安ら…

小説「傲慢と善良」の感想

小説「傲慢と善良」は、辻村深月さんの2019年に出版された小説です。この小説は、婚約者が失踪した主人公が、彼女の過去を探る中で、自分自身の過去と向き合う物語です。 主人公の西沢架は、大手企業に勤めるエリートサラリーマンです。彼は、同棲中の婚約者…

小説「世界でいちばん透きとおった物語」の感想

本作は、大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した後、遺稿として見つかった小説です。宮内彰吾は妻帯者でありながら、多くの女性と交際し、そのうちの1人と子供まで作っていました。その子供が、本作の主人公である宮内彰吾の長男、宮内悟です。 悟は、父親…