「成瀬は天下を取りにいく」を読んで

宮島未奈の小説「成瀬は天下を取りにいく」は、2023年3月に新潮社から刊行されたデビュー作である。中学生の時から「天下を取る」という夢を抱く成瀬あかりの、周囲の人々を巻き込んでいく青春小説である。

主人公の成瀬は、とにかく自由奔放で、自分の信じる道を突き進むような人物である。中2の夏休み、コロナ禍で閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映ることを目標にする。さらには、M-1グランプリに出場し、坊主頭にするなど、常識にとらわれない行動を次々と起こしていく。

そんな成瀬を、幼馴染の島崎はいつも見守っている。島崎は、成瀬のことを天才だと思っているが、自分は凡人だと思っている。しかし、成瀬の夢を応援するために、漫才コンビを組んでM-1に出場する。

成瀬と島崎の姿は、周囲の人々にも影響を与えていく。成瀬に憧れて、自分の夢を叶えるために努力する者もいれば、成瀬の行動に振り回されて、悩む者もいる。

小説は、成瀬と島崎がM-1に出場するまでの約1年間を描いている。その中で、成瀬と島崎は、夢を追う難しさと、それを叶えるためには努力が必要であることを学んでいく。

私は、この小説を読んで、夢を追うことの大切さを改めて考えさせられた。成瀬は、自分の夢に向かって、何の迷いもなく突き進んでいく。その姿は、周囲の人々に勇気を与える。

もちろん、夢を叶えることは簡単ではない。成瀬も、M-1本戦で敗退するなど、挫折を経験する。しかし、成瀬は決して諦めない。その姿は、私たちに、夢を諦めずに努力し続けることの大切さを教えてくれる。

また、この小説は、青春の煌めきを感じさせる作品でもある。成瀬と島崎の友情、成瀬の夢に向かって走り続ける姿は、青春のエネルギーを存分に感じさせてくれる。

特に、成瀬がM-1本戦に挑むシーンは、とても印象的だった。成瀬は、緊張で手が震えていたが、それでも堂々と漫才を披露する。その姿は、まさに青春の輝きそのものである。

この小説は、夢を追う人、青春を謳歌したい人、そして、ちょっと元気が欲しい人におすすめの作品である。成瀬と島崎の姿に、きっと勇気と元気を与えてくれるはずだ。

以下に、私がこの小説から感じたことをまとめておく。

  • 夢を追うことの大切さ
  • 挫折を乗り越えて努力することの大切さ
  • 青春の煌めき

この小説は、2023年の本屋大賞にもノミネートされた作品である。ぜひ、一度読んでみてはいかがだろうか。